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しかし次の夕方、魔女が起きるとコウモリはすでにいなかった。
「コウモリ…魔力もないのに、一体どこへ行ったの…!?」
二匹の使い魔に聞いても知らないと言うばかり。
魔女はまだ魔力は戻らず、歩いてコウモリを探しに出掛けた。
城の周りにはおらず、魔女は少し遠くまで足を延ばしてコウモリを探し回ったが見つからない。
そして明け方近く、コウモリは自分で、今日はボロボロになって帰ってきた。
「どうしたのよ、ここ何日か!!みんな心配してるのよ!?」
魔女の問いにコウモリは、無理やり笑って言った。
「ダイジョブ…ろーぜ…。モウ平気…。ろーぜ、喜ンデ…?」
「何が平気なのよ!?あんたがボロボロなのよ!?喜ぶわけがないじゃない!!」
魔女はコウモリをそっと抱きしめ、泣いているのを必死で隠しながら言った。
「っ…あんたがっ…うちにいてくれたほうがっ…能天気に笑っていてくれたほうがっ…私は…嬉しいに決まってるわっ!!」
「……ろーぜ…行カナイ…モウ……」
コウモリはまた、そのまま魔女の腕の中で眠ってしまった。
(コウモリ…一体…何をして…え…?)
コウモリからは強い花の香りがする。
確かに感じる、魔女の好きなバラの香り。
(どうして?なんでコウモリは、こんなに強いバラの香りがするの??)
コウモリは眠ってしまったため何も聞くこともできず、魔力も満足に渡してやれない。
魔女はまた今日も、何もわからぬままコウモリに傷の薬を塗ってやり、寝る用意をして眠りについた。
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