魔女は今日も、忙しく恋する!

12/15
前へ
/15ページ
次へ
「……好きよ…『あんた』が好き…!ねぇ…私のために、頑張ってくれたの…?」 魔女の言葉に素直にうなづく彼。 「うん、頑張ったよ…!!」 「大好きなバラの香り…その…ありがとう……。でもね、あんたとこうしているときはね、もっと好きな匂いがあるの…声も…姿も…。」 「ローゼ……」 インキュバスは泣きそうになっていた。 「泣くことないわ。私が悪いのよ…あんたを傷つけたんだから…。」 魔女は自分も泣きそうのを堪えてさらに強く抱きしめた。 「あれを、聞いていたのね…?彼と話していたこと…。あんた、彼に会いに行っていた私を、こっそり何度か見ていたんでしょう?だからこんなに、そっくりに化けて…」 「ろ、ろーぜ……」 彼の声は、次第に彼女の聞き覚えのある声になっていく。 「…ごめんなさい……私のためにあんなに傷だらけに…。匂いを消すためにバラの中に入っていったから、トゲでケガをしたのね…?」 「ゴメンナサイ、ろーぜ…!!」 彼はコウモリの姿に戻り、大きな声で泣き始めた。 「コウモリ…そんなに大声で泣かないのっ…部屋の物が割れてしまうわ…。私はね、あんたを抱きしめるの、好きなのよ…魔力の為だけじゃなくて…どっちの姿だって…好き……声もね…匂いだって、慣れてるくらいだもの、落ち着くのよ…。素直にならなかった私がいけないの……あんたはこんなに思ってくれていたのに…」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加