3人が本棚に入れています
本棚に追加
魔女はコウモリを抱きしめながらそう言った。しかしコウモリはなおも泣き続ける。
「ゴメンナサイ…!俺、ろーぜニ、闇ノチカラ、アゲラレテナイ…ろーぜノ魔力、不安定ナノニ…何モシナカッタ…」
「え…?」
コウモリの闇の力と魔女自身の魔力、何のことかと思った。
「…死ニカケテル時、優シク治シテクレタカラ、俺、願ッタ。ろーぜ魔力困ッテタラ、俺ノ使エル闇ノチカラ、ろーぜノ魔力ニ、ッテ。」
初めて聞く、闇の力の変換の話に、彼女は驚く。
「あんた、今までそんなこと一度も…!なんで私のためになんか無理するのよ!!」
「ろーぜ、優シイ……俺、ろーぜノチカラニナリタイ…」
「…なんで私、気づかなかったの…?あんたがこんなに……ありがとう…コウモリ…!」
次の日、魔女は変身したコウモリと仲良くホウキに乗って、月を見ながら出掛けた。
「落ちないでよ?あんたはのんびりしているんだから。」
「俺はコウモリだから飛べるよ?」
「今は人間の姿に変身中でしょ!」
「そうだったね〜。」
二人は笑い合いながら、人間たちの住むあたりに差し掛かった。
「あ……」
誰かの家から、インキュバスが出てくるのが見えた。
「あぁ、ローゼ。…恋人かな?」
近付いてあいさつをすると、いつもの調子の穏やかな彼だった。
「…そうよ。」
魔女は彼を見据えて答える。
「君も隅に置けないね。……あれ…?」
笑って言ったインキュバスは、すぐに何かに気付き、 人間姿のコウモリに声を掛けた。
「あぁ、そうだったんだね…。君、良かったね。ローゼ、君に振り向いてくれたんだね。」
「え??」
インキュバスは他に何も言わず、いつものように穏やかに笑って二人に手を振った。
最初のコメントを投稿しよう!