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「なに?どうしたのよ??」
再びホウキに乗った魔女は、後ろの人間姿のコウモリに尋ねる。
「俺、インキュバスを見に行っていたときは普通の姿で行っていたのに、何で俺だってわかったんだろう??」
「…まあ、いいわよ。」
惚れ薬の入ったワインすら一目見て分かるほどの彼なのだから、それくらいは見分けられるのかもしれない。
「俺、あいつに負けないように頑張る!!」
コウモリは意気込む。しかし魔女はそれだけで嬉しかった。
「あんたはいいの!…無理、しないでよ…。」
「うん!」
コウモリは素直にうなづき、笑った。
夜間飛行を終え城に帰ると、二匹が出迎えた。
「オカエリナサイ、オフタリトモ。」
「今日ハ、ワタクシガ、夕食ヲ作リマシタノヨ?…マア彼ガ、少シ手伝ッテ下サイマシタケレド。」
「あら!二匹で食事作ってくれたの?珍しい!嬉しいわ!ありがとう!」
カエルは笑ってコウモリに声を掛けた。
「コウモリ、楽シカッタデスカ?」
「ウン、スッゴク!!」
コウモリの返事を聞いたカエルはうなづき、小さな声で言った。
「……デハ、今度は私ノ番デスネ……」
「??」
使い魔二匹で作ってくれた食事を囲んでの久しぶりの団らんが終わりに近づくと、カエルがうやうやしくみんなの前でお辞儀をした。
「皆様、本日ハ私ノ方カラ、ゼヒトモ披露サセテイタダキタイモノガアルノデス…」
「ナァニ?」
「…あ……」
魔女は気付く。カエルが練習をしていたあの歌を。
「アラ、珍シイワネ。」
澄ましてそう応えるヘビ。
緊張した面持ちでいたカエルだったが、魔女が笑って小さく頷くと、カエルは緊張を少し解いた様子でまた頭を下げ、歌を歌い始めた。
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