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「魔法はうまくいったわ!あとは『ヘビのため息』を入れれば上手くいくはず!来てちょうだい!!」
呼ばれたヘビは眠そうに魔女のもとに来た。
「ろーぜ、ワタクシ眠インデスノ…。蛙ノ彼、けろけろウルサクッテ、眠レナカッタンデスノヨ?」
「またケンカをしたのね!?もう全くっ!…いいから、『ヘビのため息』を…!」
ふうっ…とヘビがため息をつくと、薬に光が吸い込まれていった。
「いいわ…!ご苦労さま!」
「アァ…眠イワ…セッカクノ素敵ナ寝床、移動シテクダサラナイ?アノ蛙ノ彼ト、同ジ部屋カラ…」
「そんな場合じゃないのっ。時間がないわ、行ってくるわね!」
魔女は眠そうなヘビを置いて、ホウキに跨がり城を飛び出した。
「急がないと…!彼、人間達のもとに行ってしまうわ!」
魔女は女性好きな一人のインキュバスが好きだった。
夜の間に行動する彼は、一人女性を定めるとしばらくそこに居着いてしまう。
「ダーク!来たわ!」
「また来てくれたの?ローゼ。」
屋敷から出てきた彼のもとに、魔女は駆け寄った。
「今日は何かな?」
嫌味なくにこやかに魔女に笑いかける彼。魔女は笑ってワインを差し出した。
「あなたにもらってほしくて持ってきたわ!ワインは嫌い?」
ところが、受け取りながら彼は、なお一層笑いながら言った。
「嬉しいな。魔法の香りがするね。この僕に媚薬と惚れ薬なんて。かわいいな、ローゼは。」
魔女は呆然とした。
「これはウルフマンの友達にあげておくよ。彼、恋人が欲しいって言ってたからね。ありがとう、じゃ。」
「そんな…!」
やはり相手にしてもらえず置いていかれてしまい、インキュバスの屋敷前で魔女は肩を落とした。
「もうっ…!どうして!?どうしてバレたの!?『ヘビのため息』は入れたわ!そうしたら魔力を感じられないはずだったのに…!!」
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