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城まで戻ってくると、やはり真っ先に出迎えたのはコウモリだった。
「オカエリナサイ、ろーぜ!」
「…なんであんたがいつも一番最初なのよ?」
魔女に笑いかけていたコウモリはそう尋ねられ、とぼけるようにさっと目を逸らした。
「…まあいいわ。食事しましょ!あんたは準備を手伝って!」
皆の食事が済み、寝る支度を整え、明け方近くにまたコウモリを寝床に呼んだ。
「ローゼは素敵だよ…?俺はローゼが好きだよ…」
「っ…はいはい、分かったからっ…。ああもう…!」
魔女はいつも以上に人型になったコウモリを、強く抱きしめた。
それからも毎日魔女はインキュバスのもとへ行き、今度は小細工なしの贈り物を渡したり、空に魔法で綺麗な絵を描いて見せたりした。
しかしやはり相手にされなかった。
「…ダーク…私には魅力がないの?…人間の方がいいの…?」
インキュバスはやはり笑って言った。
「なぜ君が俺に固執するかわからないよ。」
「私は……!」
魔女が言おうとすると、彼は言った。
「そういえば、君からは獣の臭いがするね。」
魔女は言われてすぐに気が付いた。
(獣…コウモリの匂いだわ…!毎晩抱きしめているから…でも、私は必ず匂いがしないようにしているのに…!)
「ペットでもいるの?消してから来ているつもりなのかな?慣れすぎて、臭いに気づかないのかもね。」
「…もっと、気を付けるわ…!だから……」
「いいんだよ。君のことは嫌いじゃないよ?綺麗だしね。でもね、俺はいろんな子と遊びたいからなぁ……」
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