魔女は今日も、忙しく恋する！

その後のインキュバスの言葉は全く魔女には聞こえなかった。
フラフラと飛ぶホウキで泣きながら帰って来て、城の前で必死で泣いていたのを隠すために時間を潰した。

（コウモリを抱きしめて寝ていたからだわ…！だから匂いが移って…！！なんで気づかなかったの、私…！だから私を見てくれないの…？）

城に入ると案の定、今日もコウモリが出迎えた。

「今日からもう、あんたは私の部屋には呼ばないわ…！」

開口一番にそんなことを言われ、コウモリは泣きそうになった。

「…ろーぜ……」

「あんたのせいで……もうっ、なんでもないわよっ…！！」

わかっていた。
契約のこともあったが、少し抱きしめれば魔力を分ける事はできる。それに初めは自分から好きでコウモリを部屋に呼んでいたのだから。

魔女は使い魔たちとの団らんも囲まず、その日は寝てしまった。

夕刻に起き、水晶を覗いた魔女は、魔法が使えず、水晶には全く何も映らないことに気づいた。

「なんで調子が悪くなるの？！私の自慢の魔法が…！！」