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「歩いてまで俺のところに来たの?ローゼは俺のことしか見えないくらいなんだ?」
「…そうよ……」
穏やかに笑うインキュバスを前に、魔女は魔法が使えなくなっている自分を情けなく思い、下を向いて言った。
(バレたくなかったのに…)
「そんなに思ってくれているし、俺は魔力があるから、抱いてあげようか?そうしたら魔力を分けてあげられるし、恋人は無理だけど、たまに可愛がってあげるよ。」
インキュバスは全く悪気も感じられない様子で、また穏やかに笑った。
「い、嫌よ…!私、あなたが本当に好きなの…!!私だけじゃなきゃ嫌…!!私は魔力が目当てなんかじゃないわ!」
彼の言葉に、魔女は真剣に返す。
「本当に俺に一途なんだね。…かわいそうに、気づいてもらえないなんて……」
インキュバスはそう言って笑った。
「??」
その日帰ると、コウモリは城にいなかった。
「コウモリは??あなた知らない??」
城の庭でケロケロ鳴き続けるカエルに聞いた。
「申シ訳アリマセンろーぜ、私ハ気ヅキマセンデシタ…」
「…あなた、どうかしたの??ずっと鳴いて。」
魔女がそう尋ねると、
「…歌ヲ練習シテイルノデス…。私ノ声ガ気ニイラナイト、言ワレテシマイマシタノデ…」
と、悲しげにカエルは言った。
「あぁ、ヘビに?……あなた、まさか…」
「アァ、ドウカ、彼女ニハ言ワナイデ…!彼女ノ気ニ入ルヨウナ、せれなーでヲ歌エルヨウニナルマデハ…!!」
「…分かったわ…言わない…!」
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