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いつもケンカをしている相手だが、ヘビに嫌われないようにと懸命に歌を練習するカエルを見て、魔女はなんとも言えない気持ちになった。
(カエルったら…。彼の気持ちがヘビに届けばいいけど…。)
「…ろーぜ、ドウカ、アナタモ気ヅキマスヨウニ…」
「え?」
カエルはそうつぶやき、また歌を歌い出した。
別の部屋の窓の近くで物思いにふけっているヘビにも、コウモリのことを尋ねてみた。
「…ワタクシ…気ヅキマセンデシタワ…。」
下を向き、小さな声で魔女の質問に答えるヘビ。
「なんか、元気がないみたいね?」
「…エェ…。ワタクシ…言イ過ギテシマッタミタイ……。ドウシタラ償エルノカ、ト…」
魔女は、まだ謝れておらずギクシャクしているコウモリを思い出した。
「……。」
「フフッ、ろーぜガ気ニスル必要ハ、アリマセンノヨ?…ろーぜハ、今回ダケデスモノ…。一度ダケナラ、謝レバイインデスワ。…デモ、ワタクシハ……」
毎日ケンカをしているカエルとヘビ。
しかしヘビの方もまた、言いすぎたことを気にしている様子。
「……ヘビ…あなたも、きっと謝ればわかってくれるわ…家族なんだもの!」
魔女は明るい声でヘビを励ます。
「家族……ソウデスワヨネ…!」
ヘビは目を細め、そう嬉しそうに笑った。
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