3人が本棚に入れています
本棚に追加
美人で少々気が強く、負けず嫌いな魔女がいた。
「どうしてなの…!?私は美人だし、素晴らしい魔法も多く使えるのに、彼は私だけを見てくれない…!!」
恋をしているが相手は全く相手にしてくれず、彼女の想いは届かない様子。
相手の気を惹くため、美しさと魔力に磨きを掛け、色仕掛けまでもした。しかし相手は全く気にかけてくれなかった。
「悔しい…!!」
魔女は生まれて初めて自分の城までの長い距離を歩いた。なんだか無性に歩きたい気分だった。
「なんで、私を…どうしてなの…!?」
歩き続けてかなりかかって、やっと城に着いた。月はすでに真上に掛かっている。
魔女は誰もいないのを確認してから息を整え、平然を装って中に入っていった。
「あなたたち!帰ってきたわよ!」
彼女の声だけが響く。しかしいつもの出迎えはない。
「コウモリ?ヘビ?カエル?私のお帰りよ??…誰か!おかえりなさいも無いの!?」
「かえるト、へび、喧嘩ノ後。イマ寝テル。」
やっと来たのはチビのコウモリたった一匹。
コウモリは他の2匹と比べて新参。
出会った頃に魔女は死にかけだったコウモリを治してやり、抱きしめてやることで、自分の魔力をコウモリの体力に変換できるよう契約してやった。
魔女は闇の力で人の姿になれるこのコウモリを、好きになった男の代わりに毎晩抱きしめて寝ていた。
最初のコメントを投稿しよう!