タイマー

4/6
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「どこ行くの、坊や~」  怪人の叫ぶ声が聞こえたが、相手をしている暇は無い。  俺が変身していられる時間は5分。キッチンタイマーの残り時間は4分。  つまり爆発するとき、俺は変身中だ。タイマーを遠くに放り投げたらきっと爆風にも耐えられるし大丈夫だ。  ウー ウー   後方からパトカーが近付いてきた。こういう時は端に寄って進路を譲るんだ、免許を持っているから知っているぞ。  俺は路肩にベスパを止めてパトカーをやり過ごそうとした。が、しかし、パトカーは俺の前に進路を塞ぐように止まり、お巡りさんが降りてきた。 「何事ですか?お巡りさん」 「君には窃盗の容疑がかかっている。割烹着姿のおばちゃんからキッチンタイマーを奪ってバイクで逃走したと善良な市民から通報があった」  通報からパトカー到着まで早すぎないか?いや、今はそんな事を考えてる暇は無い。 「違いますよっ、これは爆弾です!」  お巡りさんは俺からキッチンタイマーを取り上げると電池を外した。キッチンタイマーは停止した。 「こんな小さな爆弾が有るわけ無いだろう来たまえ」  俺は今回もパトカーの後部座席に乗せられて事情聴取を受けることになった。  その時だ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!