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「明日香先輩ねぇ……美人だけど性格悪そう」
「そう?」
「そうだよ。ライオン先輩に近付く女子に睨みきかせちゃってさ、彼女でもないくせに」
「鈴は? マネージャーやってて、なんか言われたことないの?」
「あるよ」
「えっ?」
「あなたが新しいマネージャーさん? て、わざわざ教室まで取り巻き引き連れてきてさ」
「うそ! なんで言ってくれなかったの?」
「んー? 別に言うほどのことでもないかなって。でね、マネージャーやるならわたしに挨拶にくるのが筋だとかなんとか言うからさ――河合鈴でぇーす! 剣道部のマネージャーやることになりましたぁ! よろしくお願いしまーす! って、バカっぽく言ってみたら顔ひきつらせながら帰ってった。そのあと教室大爆笑」
「……」
さすが鈴というか、なんというか……。鈴は昔っからこうだ。怖いもの知らずで正義感が強くて、いつも太陽みたいに明るい。わたしとは違って恋愛にも積極的だし、行動力もある。きっと鈴なら、わたしみたいにうじうじしたりせずに、相手が誰であろうとばんばんアプローチするんだろう。そんな鈴が、ちょっとうらやましい。
「秋華にいいこと教えてあげる」
クッションを放りだしベッドから降りた鈴がわたしにすり寄ってくる。
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