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翌朝。
あれ? おかしいな。もう二十分をすぎているのに垣内先輩がこない。寝坊でもしたんだろうか。あと一分あと一分とねばってみたけれど、授業開始のチャイムが鳴るまで、ついぞ先輩は姿を現さなかった。
昼休みになっても先輩が屋上扉の前へとやってくることはなく、もしかして今日は教室で食べるとか? と考えてもみたけれど、確認する術はない。垣内先輩と明日香先輩は同じクラスだ。だから教室に行けば当然、明日香先輩の目に触れてしまう。
どうしたんだろう? そう思いながらも、わたしにはなにをどうすることもできず、結局この日は垣内先輩に会うことができなかった。
その翌日も、その翌日も、垣内先輩はわたしの前に姿を現さず、鈴の情報では風邪で休んでいるらしいということだったけれど、それは三日、四日とすぎても変わることがなく――垣内先輩が学校にこなくなってから、ついに一週間がすぎた。
「家に行ってみたら?」
放課後、鈴をつかまえて一週間も休むなんておかしいと話したところ、そんな返事が返ってきた。
「ライオン先輩のうち、知ってるでしょ?」
「そりゃ、まぁ……お花屋さんなんだよね?」
「そう。フラワーショップKAKIUCHI」
「でもなぁ……」
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