3.わたしとライオンと謎規約

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 わたしと垣内先輩は、果たしてそんな仲だろうか。半年間ただ見続けて、挨拶を交わしたり一緒にお弁当を食べたりするようになってまだ一週間ほどしか経っていない。友達とも違う気がするし……なんというか、顔見知りのおじいちゃんとおばあちゃんがたまにお茶をするみたいな、そういう名前のない関係性だ。 「ずーっとこなかったらどうすんの?」 「え……」 「ライオン先輩のことだからあり得るよ。このままずーっとこないとか」 「……うん、そうだね。じゃあ、行ってみる」  ずーっとこない。そんなこと普通なら有り得ないけど、垣内先輩の場合はありそうだから怖い。本当に風邪だったら、それこそ一週間も休むなんてどんだけ重症だって話だし、もし、そうじゃないなら……せめて理由を知りたい。  先輩と話をするようになっていろいろと新しい発見はあったけれど、やはりまだわたしは垣内先輩のことをなにも知らない。卒業後のことも、まだ聞けていないし、どうして留年したのかも……それは先輩が話したかったら話してくれると嬉しいなと思っているけど、やっぱり気になる。  校舎を出て垣内先輩の家へと向かう。先輩の家はお花屋さんで、お母さんが店を切り盛りしているらしい。行ってみたいと前から思っていたけど、邪な気持ちで花屋に行くのもどうかと、ずっと行けずにいた。どんな外観で、どんな花を扱っていて、先輩のお母さんはどんな人だろう。  先輩を心配する気持ちとは裏腹に、わたしはわくわくしながら『フラワーショップKAKIUCHI』へと向かうのだった。
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