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「えっ、今さら!?」
夕方。
中学時代からの親友、河合鈴の家に行き、どうやら本気で垣内先輩のことが好きみたいだと告げたところ、思いっきり呆れた顔をされてしまった。
「だって……今までは好きっていうか、いや、好きは好きだったけど……恋っていうよりは憧れかなって思ってたから」
ベッドの上、クッションを抱えた鈴が大きなため息をつく。
「秋華って、そういうとこあるよね」
「そういうとこって?」
「鈍感」
……鈍感。そうかな? 自分ではよくわからないけど、中学からの親友がそう言うのだから、わたしは鈍いのだろう。
「それにさ、あのライオン先輩が自分から挨拶してくるとか、それって秋華に気があるってことじゃないの?」
「え……」
「わたし、一応ライオン先輩が所属してる剣道部のマネージャーなんですけど、話しかけられたこと一回もありませんけど?」
「それは……だって、先輩はユウレイ部員なんでしょ?」
もともとは鈴が、剣道部にかっこいい先輩がいる! と教えてくれたのが、ことの発端だ。留年してて金髪で通り名は『ライオン』なんて聞かされたら、誰だって気になるじゃないか。だから、こうなったのは鈴のせいというか……鈴のおかげというべきか。
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