辰巳の出逢い

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辰巳の出逢い

 巳の第一印象は、正直最悪だった。 「お兄さんさぁ、髪色ヤバない?」 「......。」 初対面の人間を見下ろして「髪色ヤバない?」と言ってくる男を、十二支連合・辰部隊を率いる瀧上龍成(たきがみりゅうせい)は無言で睨み付けた。  「...お前のその髪型の方が"ヤバい"だろ」 「あ~?そゆこと言っちゃう?ひどーい」 絶対にそんな事思ってないだろ......瀧上は心の中でため息をついた。大体、なんだその髪型は。なんで半分しか生えてないんだ。 「...てかお兄さんも"ヤバい"とか使うんだ?ちょー意外なんだけど」 「..."ヤバい"だの"ちょー"だのと女みたいな喋り方をするな」 こんな奴と話していたら気が狂う。瀧上は舌打ちの代わりにため息をついて、その場を後にした。  「...寅。ちょっといいか」 「あ?どした」 巳と別れてすぐ、瀧上は寅卯(とらう)の元へ向かった。寅卯はガレージで筋トレの最中で、その横に立つ戌亥は「暑苦しいよねぇ」と呆れていた。  「どしたよ瀧上ィ。また手合わせか?」 「...いや。そうじゃなくて......だな」 汗臭い寅卯に顔をしかめながら、瀧上は「ふぅ」と息を吐いた。 「...最近の若者の言葉がよく分からんのだが、どうしたらいい?」 「いやお前も若いだろ」 「やめろこの年寄り思考」と、寅卯が首を鳴らして呆れていた。
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