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適当な返事はほどほどにね。
「疲れた」とソファに倒れたお兄さんの背中を見て、その逞しさに「へぇ~」と声を漏らした。
「お兄さん、背中すごいねぇ。筋肉ヤバない?」
「ん...」
余程、疲れているのか。オレの砕けた口調に何も言わず、お兄さんが頷いた。正直つまらないが、そんなに疲れているのなら仕方ない。
「......何をするつもりだ」
「ん?疲れが取れるマッサージ」
年上への敬意を持って、疲れが取れるようマッサージをしてあげよう。
「...この辺どう?痛い?」
「......ン、」
「そっかぁ~、じゃあこの辺?」
「.........ん」
「そっかそっかぁ~」
うつ伏せで寝るお兄さんの腰の辺りに跨って、肩甲骨周りをグイグイと押してみる。うつ伏せになっているからなのか、それとも返事がめんどくさいのか......さっきから「ん」の一言しか返してくれない。オレもオレでそれが面白くて、分かったフリをしている。
「お兄さんってさぁ、いっつもどこで鍛えてんの?トレーニングルームにいた事ないよね??」
「......ん、」
「てか何食ったらこうなんの?やっぱ肉?」
「ん......」
何を聞いても「ん」の一言である。面白くて噴き出しそうになるのを懸命に堪え、意地悪をするように脇腹を撫でた。
「ん"ん......」
「こそばゆい?」
へへ、と笑うオレに舌打ちをして、お兄さんが「真面目にやれ...」と呟いた。なんだ、普通に話せるんじゃん。
「......ねぇ、お兄さん」
「ん......」
「......やっぱいいや」
「エロい事してもいい?」と聞こうと思ったが、このままの勢いでは「ん」で済まされてしまいそうなのでやめた。
(どうせなら抵抗して欲しいしね...)
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