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上下関係どうでしょう?
「だわぁぁぁあっっっっ!?」
ガレージから響いた声に、チームに入りたての中学生・田伏が飛び上がった。
「なっ、はっ、ほっっ?!」
ばくばくと跳ねる心臓を落ち着かせるように胸元を押さえて、田伏はガレージの方を見た。
「...なぁに、うるさいな...」
「はぁ......」と溜め息をつきながら、田伏の横で雑誌を読んでいた狗亥が立ち上がりガレージへ向かった。
「なぁに?なんなの急に大声だして...」
「やべぇよ!ネジが余った!どこのだコレ!?」
「......知らないよそんなの。バラしたの寅卯でしょ?」
そう言った狗亥が、もう一度「はぁ...」と溜め息をついた。田伏はそんな狗亥の背中を見ながら、ソワソワと前髪をいじった。
「だってこれやべぇよ!どこのネジだよ!こえぇよ!!」
「...寅卯の頭の悪さの方が怖いんだけど。......ちょっと見せてくれる?」
(...だ、大丈夫かな......狗亥さん)
呆れた様子でガレージへ入って行く狗亥の背中を、田伏はまた前髪をいじりながら見送った。
「...面倒だと思わない?こういうの」
ガレージに入るなり寅卯に抱きつかれ、狗亥は舌打ちをした。油で汚れた手で特攻服を握り締められたせいで、真っ白な特攻服が黒く汚れた。
「...こうでもしなきゃお前、こっち来ねぇじゃん」
「...だからって面倒じゃない?オレを呼ぶ為にバイク全バラするの」
「......そう思うならもっと俺に寄り添え」
「...はいはい、ごめんね"総長"」
「ほんとメンヘラだよね」と、狗亥はソッと寅卯を抱き締めた。
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