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――――?
村の入口に飛ばされた俺は混乱していた。
前回と同じ獣人の看守に捕まり服を脱がされ縛り上げられ牢獄に連れていかれている。
どうゆうことだ?
今回の攻略対象は…と考えてるとドンッと押され見慣れすぎた薄暗い牢に突き飛ばされた俺は冷たい床に倒れこむ。
「大丈夫か?」
と後ろから聞こえた低い声に俺の体はビクリと跳ねた。
それもそのはず俺は今まで独房のはずで……
誰かと一緒だなんてこと1度も…と考えて気づいた。
攻略対象の4人目は囚人の獣人であったことを。
俺はヨロヨロと縛られて動きにくい体をなんとか起こし声のほうを見れば牢の中に浮かんでみえる白い猛獣、ホワイトタイガーと目が合ったのだった。
え?エッツ?!
牢に猛獣がいる…いや、野放しはダメだからあってるんだけど!
――そうじゃなくてッツ!!
人間と一緒に牢にいれるとか、おかしいだろ!!!
(いや、俺はこの猛獣のエサなのか!?)
よく見れば前足に猛獣用の鉄輪がされ重量のある球で牢につながれているのが分かっただろうが牢に猛獣といれられたことにより冷静さをかいた俺の目には涙があふれてよく見えなかったんだ。
腰が抜けてしゃみこみ状況を受け入れられない俺の脳は現実逃避していて
どんな咎人であれば生きたまま猛獣に食べられる罰をうけるのだろうかと真剣に考えていた。
「どっか怪我をしたのか?」
見つめたまま声もなく涙を流す俺に横たわっていた体をおこしてジャラジュラと鎖を鳴らしながら俺に近づくから体は勝手にガタガタと震え歯はガチガチと鳴りだして
メンタルがボロボロだった俺は目の前にきた猛獣に意識が強制終了したのだった。
次に目が覚めたとき猛獣にのしかかられ股間を大きく開かされ匂いを嗅がれていたけれど3年もこの世界にいれば獣人より非力な人間の抵抗などやるだけ無駄だと学んでいた。
けれど裸の体に鼻息や毛が局部にかかり開かされてる太股がピクピクと動いてしまうのは許してほしい。
このまま犯されるのだろうかと心臓がドクドクと煩く鳴っていたけれど猛獣は匂いを嗅ぎ終えるとあっさり俺を開放してくれた。
うう゛、俺に魅力が足りないのか?
(猛獣に犯されるのを想像すると恐ろしくて体が震えるというのに見向きもされないで無視されるのもそれはそれで傷つくなんて)
一定の距離を離れた場所から俺を観察するように見つめられて居心地が悪い。
(食料として見られてるんだろうか…太ってない俺は美味しそうには見えないよな?ガブリと食べられないよねぇ?)
っていうか4人目が獣人というより猛獣そのものだなんて聞いてないぞ。
俺からは近づくことさえできそうにないッ!!
詰んだとしか思えねぇ。
それでも俺の囚人生活は進んでいき看守から呼び出されてはエスカレートする尋問で体を酷使していた俺はふらふらと牢へ入ると中で意識を飛ばしてしまった。
ああ、ベッドで眠れるなんていつぶりだろうと思ったのも素肌の体に感じた手放したくない温かさに包まれていたからで・・・
…………!
(いや、待てそんなものココにあるわけねぇだろッ!!)
と重い瞼を押し開けて見えたのは真っ白な美しい毛並みだ。
手触りも極上と言っていいほどの柔らかさがあり何でこんなものが?
と寝ぼけた頭ではすぐに理解できなくて思い出そうと手に触れる白い毛に頭をぐりぐり押しつけて考えていたら…くすぐったそうに揺れた。
「起きたのか」と頭上から声が聞こえて見上げれば琥珀色の目が俺を見つめてられ俺は動けなくなった。
寝ぼけて猛獣の腹に頭をぐりぐり押しつけるなんて命知らずなッ!
けれど彼は怒るどころか俺の体の心配をしてくれたのだった。
今までの奴隷生活3年を過ごした中でこれほど優しく接する獣や獣人がいただろうか?
断言しよう答えはNOだ!
彼の優しさに俺のボロボロになったメンタルは癒されていた。
(今までは独房で話せる相手もない牢獄で裸で一人で寒さを耐えしのいだ生活だったのが話せる相手がいるだけでどれだけ救われていることか)
彼は俺に看守たちのことを聞き、俺はこの世界で疑問に思ってたことを彼に話せば俺の無知を笑うことなく何でも答えてくれるのだった。
そうして寄り添うようにしてどちらかが眠るまで話すのが俺たちの夜の過ごし方となっていて俺はこの穏やかな時間が好きだった。
そんなある日、牢獄の外が騒がしくなりホワイトタイガーの彼は鎖をギリギリまで伸ばし探るように耳を動かしていた。
しばらくすると牢にむかってくる足音が響き、それは俺たちの牢の前までやってきて
「遅くなり申し訳ございません。スウン様」
と牢をぶち破って入ってきた3人獣人たちはホワイトタイガーの前に跪き頭を下げたのだった。
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