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「どうした?こんなところで」
噴水の水に映る太陽をぼんやりと眺めていたら聞きなれた声が後ろからして俺が振りむく前に腰に腕が回され引き寄せられる。
水には褐色肌の白とも銀ともつかぬ長い髪を複雑に編んだ体格のいい青年が裸のまま俺の貧弱な体を後ろから抱きかかえてるのが映っている。
青年の名前はスウンといい、この国の王子様だった。
王の命令であの村を調べるために獣の姿で村を襲うフリをして潜入していた。
村の獣人に殺されることは考えなかったのかと聞いたらその時は逃げて別の方法をとるつもりだったらしい
王子がすることじゃないと思うがこの獣人世界で常識やモラルなど無いにひとしい。
けれど約束した救出の日は遅れ…そのおかげで俺は彼と出会い、一緒に村から助けてもらえたのだった。
水に映った自分を見てため息がでる。
スウンもここの獣人たちもがっしりした男らしい体をしていて俺の貧相さが際立ち同じ雄とも思えない股間のもののデカさと淫猥な形に顔を赤くしたり青くしたりで。
スウンも他の獣人もそんな俺を面白がって下半身を押しつけてくるし。
(言葉にしたら妹のように放送禁止用語の羅列になること間違いなしだ)
アレは進化なの?
裸で暮らす獣人が害虫から身を守るために人間では強化できないと言われた場所が見た目もゴツゴツと硬そうにぶら下がっているのだ。
アレが交尾のときどうなるか考えただけで恐ろしい…
尻が本来の機能として使えなくなりそうで。
俺はスウンの身の回りの世話係してるから毎日、雄々しいものを見ているんだけどとても受けいれられそうにないよ!どうしよう…うう“
とかそんなことを考える穏やかな日々をすごしていたんだけど
俺は腕と足を縛られ小部屋に閉じこめられていた。
この国のドロドロ事情により俺は『Normal END』のルートを回避しきれていなかった。
俺は大臣の陰謀により奴隷商人に売られるらしい……もう嫌だ!!
(…4年目となる奴隷生活だなんて耐えられない……)
スウンの仲もかなりイイとこまで(キスして受け入れる準備をしていたのに!)いったのに何がいけなかったのか。
もう1度だけ彼に会いたいなぁとか他の獣人に犯されるくらいなら痛くても彼と交尾しておくんだったと後悔ばかりで。
安心できるスウンの笑った顔が見たかった
小部屋に1人で閉じ込められ情緒不安定になった俺は部屋の隅で体を丸めて声も出さずに泣いていた。
バタンッと小部屋の扉が乱暴に開けられる音に顔をあげれば
光を背にして立つ一番見たかった男の姿があった。
「また泣いてるのか?お前は目を離すとすぐにいなくなるし、俺の伴侶として隣に置いとけば俺も安心できるだろうか?」
と俺の前でしゃがみこんで弱りきった顔で首をかしげ俺を見つめながら両腕を広げるから
俺はその腕に迷うことなく飛びこむことにした。
了
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