selfish-man

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バブル崩壊寸前の年、僕は金融系の会社に就職が決まった。 2年ほどつきあって1年近く同棲していた1歳下の彼女を置いて、4月から3か月の研修に東京へ行った。 寂しいと言われたけれど、仕方がなかった。 途中GWには帰るからと言っておいたのに・・・・ 家に戻ると僕の荷物だけになっていた。 彼女と連絡も取れず・・・・ 同じサークルの仲間とは軽いつきあいにしていたので連絡をとっているやつもほぼいなくて。 どうして?なんか僕は悪いことでもした? そう思いながら何人か知り合いに連絡してみても知らないと言われた。 きっと知っていても教えないでと根回しされているのだろう。 やっと一人彼女とそこそこ仲の良かった女子をつかまえて聞いてみると、同じサークルの後輩のオトコと一緒に住んでいるというのだ。 どうやら僕は二股をかけられていたらしい。 なんで僕がこんなめにあわないといけないんだ…と思ったけれど。 仕方ないか・・・・と一旦荷物をまとめてその家は引き払うことにした。 研修が終わり、関西に配属が決まって新しい家を探した。 そこそこの会社にはいったのだけれど、同期のやつらとはどうも気があわなくてやはり薄っぺらいつきあいだけしておけばいいかと思っていた。 僕は子供の頃から親が先生をしていることもあり、成績もよかったからかみんなから一目置かれていた。 人当たりはそれなりで配属先の上司にも可愛がってもらっていた。 その上司が秋のセミナーの講師をすることになり、その年の入社の同じ部署の一般職の女子と一緒にもう一人の総合職のヤツと4人、そのセミナーを受けることになった。 同じ部署の一般職女子は3人いて、2人が同じビルにいた。隣の課にいる背の小さいブランド物に身を包み仕事する気のなさそうな丸宮桜、もうひとりは同じ課の背の高い気の強そうな浜口成美。もうひとり、センター勤務のアイドル系美人の岡野莉緒菜。 雰囲気の違う3人だった。 僕は配属されてすぐに研修にやってきた岡野莉緒菜に一目ぼれしてしまった。 でも、話すタイミングもなく、普段は離れたセンターにいるのでめったに会うことはなかった。 丸宮は隣の課長も困るくらい仕事にやる気がないらしく、セミナーも受けませんと断ったらしく、僕と宮本と浜野、岡野の4人がセミナーにいくことになった。 これはチャンスだと思って課長にセミナー後にみんなで食事にいきたいとこっそりお願いしてみた。 そして岡野さんが気になっているとそれとなく話題にした。 世話好きの課長のことだから、何か彼女に話をするんじゃないかとドキドキしながらセミナーの日までを過ごした。
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