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1、戦国時代へ
俺は自分の人生が激変した日を思い出した。
高校2年生の、テスト最終日。
あと3秒、2秒、1......
「はい、終了~。筆記用具置いて」
先生の掛け声と共に皆一斉にシャーペンを置く。
「そしたら後ろの人、出席番号順に集めてきてー」
「あぁ~!!全然わからなかった!!」
「剛はいつもでしょ」
「ねぇねぇ、この後どっか遊びに行かない?」
「いーねー。そういえば駅近にプリクラ新しい機種置いてあったって!」
がやがやとし始めた教室で帰りの支度をしていると、誰かが飛びついてきた。
「まっことー! テストできた? 俺英語がやばい。」
「剛!急に抱きつくなよ。」
「ごめんて。なぁ、テストどうだった?」
「いつも通りかな。ま、補習さえなけりゃいいや。」
「いつも知識が偏ってるからもったいないんだよ。もっとテストに出るやつ覚えればいいのにさ。」
「意外と雑学が面白いんだって。あ、ごめんそろそろ俺バイトだから行くわ!」
「今日もバイトかよ。おっけ! しゃあないからテスト返しの時あそぼうな!」
「はいよ。じゃあな!」
「おう!頑張れよー」
なにかと絡んできてうるさいが、仲の良い剛と話をして教室を出ていく。
バイト先で熱が出て1人休むらしく、急遽シフトが入った。小さな定食屋だが、お手頃な値段と料理の種類の多さでなかなか繁盛している。
早く行かないとこの時間は混んでいるかもしれない。そう思って急いで自転車置き場に向かった。
「お疲れ様でーす!」
「おつかれー」
「え、待ってよ真人!先に帰らないで!!」
ごめん眠いから先帰るわ。そう言おうと思ったけど、戻るのもめんどくさくてそのまま出てきた。
「くあーぁ」
やっっと今日のバイトが終わった。テスト最終日だったからめちゃくちゃ眠いんだよな。
バックを背中に背負い、いつも通り自転車に乗る。早く帰りたくて鍵を差し込もうとするが今日に限ってなかなか入らない。
やっとこさ鍵をつけて漕ぎ出すが目の前の信号が点滅してる。
「あ、急がないと」
立ち漕ぎに切り替え、スピードを出して渡ろうと曲がり角に差し掛かった瞬間、自転車がスリップした。そういえばさっきまで雨降ったり止んだりしてたなあ……。
ズザザザーッ!バシャン!
げ。水溜りに落ちたかも。そんな呑気なことを思っていたらガンッ!と何かに頭をぶつけたのを最後に記憶が途切れた。
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