あと5分、眠らせて

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 私も、寝転んでみた。 「…………」 「…………」  ゆうは壁のほうを向いているから、その顔は見えない。  やわらかい彼の茶色い髪の毛が、艶やかに光っている。……まるで、私を誘っているかのように。  駄目だ。これは、私を誘惑している。  無言の誘惑、恐るべし。なんて。  卑怯だ。  ……よし、こうなったら。 「……えい」  彼の頼もしい背中に腕を回した。  つまり、その誘惑に私は負けた、ということ。 「……ふ」  彼の甘く優しい香りが、ふわわん、と私の鼻をくすぐる。  この匂いに魅せられてから毎朝、彼に抱きつくのが私の日課だ。  そう、あの日から。
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