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私も、寝転んでみた。
「…………」
「…………」
ゆうは壁のほうを向いているから、その顔は見えない。
やわらかい彼の茶色い髪の毛が、艶やかに光っている。……まるで、私を誘っているかのように。
駄目だ。これは、私を誘惑している。
無言の誘惑、恐るべし。なんて。
卑怯だ。
……よし、こうなったら。
「……えい」
彼の頼もしい背中に腕を回した。
つまり、その誘惑に私は負けた、ということ。
「……ふ」
彼の甘く優しい香りが、ふわわん、と私の鼻をくすぐる。
この匂いに魅せられてから毎朝、彼に抱きつくのが私の日課だ。
そう、あの日から。
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