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窓から淡い陽の光が差し、私はそれを浴びながらシングルベッドに座っている。
隣には同居人の彼もいて、なんとも気持ちよさそうに、すうすうと寝息を立てている。
ピピピピ ピピピピ ピピ__
__カチッ
「んんっ……」
目覚まし時計の「め」の字が終了した頃くらいにボタンを押し、再び訪れた優しい朝の静寂のなか小さく寝返りを打った__のは私ではない。
私は小さく笑みを漏らし、彼にそっと囁いた。
「もう、起きる時間だよ」
「んん……。あと、ごふんらけ……」
現在、舌っ足らずな声で呟く彼__〝ゆう〟こと〝優太〟__。彼こそが、せっかく働いてくれた目覚まし時計を__光ほどではないけれど__素早く止める張本人。
目覚まし時計が鳴ったあと、5分間だけもう一度眠る。そして、5分経つと妙にすっきりとした、嬉しそうな顔で起きてくる。それが彼。
起きる時間が早いのかなと思って、試しに目覚まし時計の時間を5分遅くしてみたこともあった。けれど、結果的に意味はなかった。
彼は必ず、5分間二度寝をする。
今だって。
「んん……」
さっきの〝5分間二度寝宣言〟どおり目を閉じて規則正しく体を上下させている。
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