『二人の女の子』

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その少女がどこへ行ったかは私は知りません。私が彼女のことを知っているのは『ワガママ魔女』になってからのことなのです。では、何故魔女になる前のことを話しているのか。簡単ですよ。私がよく知っているのは姉の方なのです。 妹がいなくなってから、姉の魔女はあらゆるところを探します。しかし、探しても探しても見つかりません。探していないのは立ち入ることが憚れる場所のみ。そう。例えば忘却の森のような場所でございます。 いつだったか、彼女は私がいる霧の館に足を運びました。そして助けを仰いだのです。 「私の愛する妹がどこかへ行ってしまったの。どうか、2匹のチョウの髪留めを着けた女の子が来たら私に教えてちょうだい」 彼女は何度も館を訪れます。その度に私は彼女にお茶をお出しし、会話を楽しむのです。 私は知っていました。彼女の愛する妹がどこにいるのか。今、何をしているのか。しかし、私はそれを彼女に伝えるつもりはありません。 だって、私。彼女の妹であった『ワガママ魔女』がとてもとても嫌いなんですもの。 ワガママ魔女が以前どんな少女だったかなんて、私には関係ありません。重要なのは少女が何をしたのか。少女は、私の友人であるモカ・ウィッチ様の大事な黒猫をあんな風に奪ったのです。許せるはずなんてありませんでしょう? ああ。でも、そういえば。 一度だけ見たワガママ魔女は、もう、髪を縛ってはいませんでしたよ。チョウなんて見る影もありませんでした。 もうあの方の愛しい妹は戻ってこないのでしょうね。 私は言ってあげるべきでしょうか。 貴女の妹は、もうどこにもいませんよと。
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