「知っていますわ」

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フローリアはもう一口、とカップに口を付けようとした。丁度その時、館の外の森から数十羽の鳥たちが騒がしく飛び立った。どこかの人狼と狩人が夕食の為の狩りを行っているのだろうか。 ちらりと門の方へと視線を投げたが、さして気にもせずにフローリアはカップを傾けた。 私の妹は本当に才能がありましたのよ。二つ名に『フェア』を持つほどに。 フェアは公平。それと同時に、あの子の『フェア』は『フェアリー』、妖精に近いものを示しますの。ええ、あの子の持っている才能とは魔法と妖精に好かれる才能ですわ。ですが、彼らに好かれる代わりに運は逃げていく。 これがあの子が不運になる理由ですわ。妖精たちは気紛れに魔法を振り掛ける。振り掛けられた魔法は、あの子が手にするはずの幸運を弾いていく。 それでも。あの子はあの子なりに頑張りましたわ。 私があの子を不運から遠ざけるためにはそれ相応のまじないを使い続けなくてはなりませんのよ。 24時間魔法を使い続けることは、どんな魔法使いであっても負担となるもの。あの子だってそれを理解していましたわ。だって、私たちは魔女の姉妹ですもの。あの子も立派な魔女ですのよ。 魔法学校に在学していた当時を思い出すように、フローリアは笑みを浮かべて語り続ける あの子はあの子で、幸運を手にする魔法を研究していましたのよ。 その結果は…
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