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しかし。そんなに事はうまく運ばれなかった。
一週間ぐらいで届くと聞かされていたが、ちょうどそのころに、また弟からメッセージが届いた。
【 ごめん。姉ちゃん。俺、十日間の出張に行くことになったから、そいつと会えなくなっちゃったんだ。半月後になるけどいい? 】
なんだって! いまかいまかと待っていたのに、半月後だ!? メンタルやられて売り上げに響く!! と真広は叫びたくなった。
【 そっか……。仕方ないね…… 】
【 ごめん。そいつも、お姉さんにすぐに読んで欲しかったのにとがっかりしてた。実家に置いておきたいけどさ。チビがなにかしたら申し訳ないから 】
【 うんうん。いいよ。その方にも気長に待っていると伝えておいて 】
はあ――とがっかりしたため息をついた。
明後日が休みだから、実家に取りに行けたら行って、ゆっくり読もうと思っていたけれど。
今月は、青年漫画禁断症状と闘わねばならぬのかと悲しくなってきた。
ほんとうに電子書籍にチャレンジしてみようかと思ったり……。
ところが、その翌日の朝にまた弟からメッセージが届いた。
【 今日の昼に受け取るから、そのまま持って行く。夕方、大通公園の噴水で待ち合わせよう。50巻ぐらいあるけど、大丈夫か? 】
【 大丈夫。なんならタクシー使う 】
【 どんだけ漫画に必死なんだよw タクシー代で自分で買えるじゃんww 】
【 ソムリエ料はお礼として払うって言ってんじゃん 】
弟と待ち合わせることになった。
弟は現場から社用車で会社に帰るついでに、大通公園に寄ってくれるという。
「50巻か。よし、意地でも持って帰る」
今月も癒やしの素をゲットできる喜びが真広のなかで湧き上がりまくっていた。
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