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5.元カレが、凱旋??
それでもあれ、遠慮したほうなんだろうな。
弟の同級生、漫画ソムリエの消防士 槙野 駿と一緒に食事をして思った。
ビールジョッキのおかわりの数も真広と一緒。消防士がどれだけ食べるかしらないけれど、食べ物も真広よりすこし多めだったぐらい。
パーカーを脱いでTシャツ一枚になった彼の、半袖からむき出しになった腕は非常に鍛えられているものだった。
その鍛えられた筋肉に包まれた腕を見て、ドキリと女心が騒いだのは秘密。
【 では、次の十冊を持っていきますね。また大通で待ち合わせでいいですか 】
【 了解です。すーごく面白いです。50巻すぐに到達しちゃいそうです。次のソムリエ推薦作品も楽しみにしています 】
【 非番の日、伝えますね 】
彼がいくつかの非番の日を提示してくれたので、真広も都合のよい日を知らせ、その日にまた会うことになった。
消防士の彼と約束をした当日。
【 今朝の大交代で24時間勤務完了、非番と週休になりました。ひと眠りして、夕方行きますね 】
【 お疲れ様でした。夕方、噴水のベンチで。雨が降った場合は、地下の小鳥の広場で待っています 】
【 了解です。今日は暑くなりそうなので、外回り気をつけて 】
こちらも了解と伝える。
「おーい、小山。そろそろ訪問の時間だろ」
課長に言われ、真広ははっとスマートフォンから顔を上げる。
「西村君、行くよ」
「はい!」
いま教育中の後輩と共にでかける。
訪問する宅の顧客名を勤務のホワイトボードに記し、営業で外に出ることを示すメッセージを残す。
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