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そこにフロアを支えるデパート社員のデスクが設置されている。係長と課長が詰めていることが多く、売り上げ管理に売り場販売員の統率に、フロアの巡回、商品の搬出持ち出しなどの許可の印鑑やサインをここでもらうことになっている。
華やかな売り場とは異なり、ほんとうに狭いところに押し込まれたようなデスク室。
雑然としているそこに吾郎のデスクがあり、そこまで真広もついていった。
皆、外の巡回に行っているのか、誰もいなかった。
「いま持ち出し票、書くな。待ってな。あ、それからこれ。俺からの祝いな」
先ほどの海外高級紅茶メーカーのギフトセットをひとつ、既にショップバッグにラッピングした状態で差し出されていた。
「いつのまに……。え、お祝い?」
「レスキュー君と楽しみな。新居になるんだろ」
「もう、新居、だね。今月から」
「ま、元カレからの祝いなんて、嫌がるかもしれないけど。なんか、あの青年、惹かれちゃうんだよなあ……。あの笑顔かな。販売員にほしいくらいだけど、レスキューも人に対する仕事だから、人当たりいいんだろうけれど。彼の場合、そういう素質ってかんじで」
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