5.元カレが、凱旋??

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「季節の切り替わり時、お客様の心も夏模様になってくるから、どんなものが店頭にあるか、明後日にでも見て回ろうか」 「イエスマムです」  接客がおわった途端に、若い男の子モードで敬礼をするので、一緒に笑ってしまった。  外商部事務室に戻って、上司に売り上げを報告。  この日の仕事はその後の事務処理を少しして、定時過ぎに退勤できた。 「お疲れっしたー」 「お疲れー、カノジョと仲直りがんばりなー」 「イエスマムでーす」  相棒の西村も急いで待ち合わせ場所に向かっていく。  真広の待ち合わせの時間まではまだ少しある。  仕事は終わったが百貨店内を歩いてみる。  明日はふたり揃って休暇だが、明後日、西村と店頭巡りをするための下見を兼ねておく。  夏の靴に、化粧品、婦人雑貨あたりを一階で流し見していると、店頭の販売員から『先日は訪問先での売り上げ、ありがとうございます』とか『新商品が入荷しているので、チェックしてみてください』と声がかかる。  明後日、相棒を連れて下見にくるので、その時によろしく――と返答しながらも『うーん、これは○○様がお気に召しそう。△△様が気にしていた。次回、おすすめしてみよう』というものが目に付く。忘れないうちにと、手帳にメモをしておく。  そうしているうちに待ち合わせの時間が近づいてきた。  まだ営業している百貨店ビルから、夕になり涼しげな北国の風に変化した通りへと出て、大通公園を目指す。
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