6.恋はめんどくさい

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「ううん。スリリングで時間を忘れられて、面白かった。あーこういう時間が欲しかったのー最高! っていいながら、またもや缶ビールを呷っていました」 「ぶ……、お姉さんって、めっちゃ自然体なんですね」  彼が少しスープカレーを吹き出しそうにしている。 「いまさら取り繕っても。真人からいろいろ聞いているんでしょ」 「ええ、まあ。……お母さんが男みたいな名前をうっかりつけたせいで、姉貴は活発で……とは、高校生時代に……」 「そうなんだよね。『真広』て『まさひろ』と読まれちゃうんだよね、新入の時に必ず『え、女子? 女子の欄にいるけど間違いない? どの子? え、男の子?』みたいに、姿を見ても女の子とか見られないこともあってね」 「それ、真人から聞きました。お姉さん、ショートカットが多かったらしいですね」 「ミニバスやっていたからね。髪を長くして女の子らしくなんて、性に合わなくて。よく真人の同級生には、ほんとは兄貴だろとかからかわられても、売られた喧嘩はかっていたので、年下の男子と本気でやりあって、あとで叱られるの私なのね。損だよね」 「す、すみません……。ちょっと、スープが飲めなくなる」  彼が肩をふるわせて笑みを必死に堪えていた。
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