7.消防官の、カレシ!?

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「か、彼が、お世話になっています」 「小山です。こちらこそ、西村君の実力に助けてもらっています。将来有望だから、支えてあげてくださいね」  先輩の顔をなんとか見せようとした。  遅れて西村が彼女に追いついてきた。 「なんだよ、やめろって。こちらもプライベートで過ごしているんだから。すみません、小山さん」 「だって……。毎日、車に乗って一緒にでかけたりしているんでしょ」 「毎日じゃねーよ。車に乗るのだって仕事だって何度言えば」  わー、(こじ)れてる……。むしろ彼女の気持ちが真広にはわかってしまう。  疑い出すとキリがないし、疑いだしたら最後、彼がなにをしても、安心させようとしても、なにもかもが心配になってしまうのだ。  つきあって三年目。なんで三年も付き合って、先に進めないの? そう思うお年頃だというのも女としてよくわかる。特に結婚願望があったり、彼のことが大好きで仕方がなければ、一般的な女性は結婚を視野に入れるはず。そこで部署異動で仕事内容が変わり、精神的にいっぱいいっぱいの男が煮え切らない態度を見せたら、そりゃ……。真広も身に覚えがありすぎて――。
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