8.セフレ面接完了

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 彼がすとんと、階段の上に真広を降ろしてくれる。 「やだ。ちょっと……、らしくないことして焦っちゃったかな」  もうかっこわるくて、彼の顔が見られなくなった。  なのに。階段の中腹になるそこで、彼がぐいっと真広を壁際に押していた。 「え……」 「お姉さん」  彼がものすごい真上から見下ろしていて、その真剣な眼差しに威圧感がある。  しかも彼が身をかがめて、そっと真広の首筋に鼻先を近づけてきた。 「ずっと思っていたんですよ……。会ったときから、ここ、キスして匂いかぎたいって」  ドキリと心臓が跳ね上がる。男の匂いが濃く充満しはじめ、真広の鼻孔をくすぐりはじめる。 「我慢していたのに。さっきは致し方ないと堪えたのに。いま落ちそうになったあなたを後ろから抱きしめたら、首筋がすぐそこ。たまらなかった」 「……そ、それは……えっと……どういう?」  なのに、そこで彼が大きく息を吸って、致し方ないように離れた。  地下から人が階段を上がってきたからだ。  その人をやり過ごすと、彼から階段を降り始めてしまう。
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