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「すみません。ちょっと男としてそう感じただけですから。俺、お姉さんみたいな人、めっちゃタイプなんですよ。だから真人が行けないとわかったとき、お姉さんと接触する機会が今度はいつになるのか待てなくて。高校生の時も、俺から見たら、年上お姉さんな先輩ってかんじだったので、どんな大人の女性になったか見てみたかったんです。無理矢理、俺から渡すと押し通して……。そうしたら、そんなスーツをきっちり着込んで、綺麗なお姉さんだったんでもう……」
なんだ。ちょっと男としてそうなっちゃっただけらしい。
まあ、わかる。真広も彼から男の匂いを感じてしまったぐらいだ。年頃の男と女が間近に触れ合えば、性的になにかを感じてもおかしくない。でも、ただそれだけだ。
「だからこのまえ会ったときから、俺、ほんとうはかなり舞い上がっています。少し前の俺だったら。付き合ってくださいと言っていたかな。いまは、先ほどお話したとおりに、大事にできないので」
恋人はいらない――ということらしい。
おなじだ。まったくおなじだと真広は思った。
「私も、恋人はめんどう。それ以外なら、欲しいと……は、思ってるんだけど」
女の欲望スイッチが入ってしまっていたので、ふっとそんなことを平気で呟いていた。
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