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「誰でもいいなら、そういうアプリを使うし、でもそれも面倒だし、よくわからない相手とトラブルになるのも面倒くさい。それに不特定多数を相手にしている異性もいるだろうから、身体的にもリスクがある。でも、こういう相手って、信用できる異性だからってわざわざ申し込まないでしょう」
「つまり――。私と槙野君の思っていることが一致しているってこと? 安全な――」
「そう、安全なセフレってどうっすか」
男の彼からはっきりと言い切った。
そりゃあもう、真広にしたら願ったり叶ったり?
「えっと……。今日はもうだめですよね、突然すぎて。女性も心の準備がいるでしょうし」
デートならそうする。
でも真広もここまで利害一致しているならいましかないとも思った。
「ううん。そういう関係なら、どうでもいいかな」
「なるほど。ほんとうにそれだけが目的ってことですよね」
「そのほうがいいと思う」
恋人に気遣うような準備なんていらない。
ありのままの身体を、その気になったらいつだって投げ出せる。
情に振り回されないためなら、それぐらいがいい。
「それに明日は、私、休みだし」
「俺も、非番、週休、非番の三連休です」
タイミングもばっちりということらしい。
「行きましょうか」
決まると男の彼のほうが割り切ったように先に歩き出した。
心に決めたはずなのに。自分のほうがお姉さんなのに。
真広はいま心臓がばくばく激しく動いている。
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