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後ろから駿が抱きついてきた。
真広はびくっと硬直する。しかも、さきほど彼が言っていた首筋にキスをされていた。
彼がやりたかったということを、彼から迷いなくさっそく実行している!
首筋にチュッと吸われた感触。彼の鼻先が優しく触れて、首筋から耳元、そこからまた下へと唇が優しく触れている。
荒っぽい息づかいは聞こえなくて、むしろ、抑えに抑えて堪えているようなかすかな柔らかい息が肌にふりかかってくる。
あー……、もうだめかも……。
彼の腕の中、真広も身体の力が抜けていく。
そうなの。こうして誰かに優しくキスしてほしかったのかも。
かんじるところ、そうして愛してほしかったのかも。
うっかり『きもちいい……』と漏らしそうになって、いつの間にか真広も、荒くなりそうな湿った吐息を抑えに抑えて堪えている。
「思ったとおり。すごく、いい匂いがする。抑えられないんだけど……。この、香水とかじゃない、自然な女の肌の匂い……すごくいい」
香水はつけない。香りは人の好みの差が激しいから、うっかりお客様の不快に繋がらないよう、仕事の時には付けないことにしている。
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