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そのかわりボディケア商品は、リサーチのためにあれこれ使う。ボディソープから、バスソルト、お風呂上がりのパウダーに、ボディミルク。いい商品はほのかで上品な香りをかすかに肌に残してくれる。
きっと、それなのだろう。肌に馴染む柔らかな香りは、ふとした時にそこはかとなく漂ってきて、真広も好きだった。
そういう自然な香りを、彼がうっとりと堪能している。
「シャワー……入らせてくれる?」
「もちろんです。俺なんか、かなり男臭いだろうから、このままでは嫌われそう」
ぴったりと背中に抱きついて真広の首筋にキスばかりしている駿を、真広は肩越しにちらっと見つめる。
「私、さっき抱きついたときの駿君の匂いでスイッチが入っちゃったんだけど」
彼が驚いて、真広の首筋から離れた。でも後ろから回している両腕は真広を抱き寄せたまま、強く組まれて離れない。
「だって。普段でも汗臭いですよ」
「そりゃ、そうだろうけれど……。なんていうのかな、男の匂いね。飢えているせいか、そういう強い匂いにくすぐられちゃう、みたいで……」
彼が目を丸くしていた。
「もしかして……、遠慮、しなくて、いいかな」
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