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仕事に行くときは、白いブラウスにシンプルだけれど上質で身体にフィットしたオーダースーツを着ていく。
百貨店からやってくる外商員として、安物のスーツなど着ていけない。きちんと自分の身体の寸法にあっているスーツを着る。
黒髪もきちんとアップして、メイクもナチュラルに、目元も綺麗に睫まで整え、眼鏡じゃないコンタクトをしていく。
愛用のバッグも店頭で見つけたお気に入り。でもあちこちは持たない。これぞという一点を使い込む主義。
靴もファッション重視ではなく、シンプルに上質さと丁寧さを垣間見せる一品で行く。
すっとすべてを着こなした自分は、まさに百貨店の人間。そしてキャリアをもつ大人の女だと自負できるまでに磨き上げられなければ、この仕事はできない。
派手にするのではない。あくまで上品に上質にがモットー。
それは仕事の姿であって、本来の真広ではないのだけれど、誇りを持ってそのスタイルで行く。
だから……。ビールを呷りながら、青年漫画を読んでだらだらしてる姿など、絶対に知られてはならないのだ。
青年漫画切れを起こしてしまい、さてどうしようと自分で探すだけで夜が終わってしまった。
探すってストレスだなあと、がっかりしながら朝を迎え、本日もキリッと凜々しく整え、お仕事モードの真広で出かける。
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