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真広も笑って、もらった水を飲み干した。
コップをベッドサイドのテーブルに置くと、駿はまだ真広をじっと見つめて、静かに微笑んでいる。
「え、なに?」
「抜けてるお姉さんもいいなと思って」
「抜けてる? あ、……ぼさぼさってこと?」
綺麗にアップしていた黒髪もバレッタやヘアゴムをとりさらって乱れた状態。ベッドの上で、あんな体勢、こんな体勢で、彼と入り乱れたのでくちゃくちゃになっていた。
「俺、やりすぎていませんでしたか? 痛くありませんでしたか」
「さすが、消防官だと思いました。痛くなかったから安心して」
乱れた黒髪を直しながら真広が呟くと、今度の彼は笑っていなかった。
真顔だったが、今度のその真剣な横顔は思い詰めているように見える。
「俺の話……、してもいいですか」
「うん……、いいよ」
ひと息つくと、駿が決意をしたように口を開いた。
「これまで、それなりに彼女はできたんですけど、長続きしなくて。こういう仕事なので不規則なのもあるし、その……。加減がわからなくて、女性の身体の扱い方……」
「そうなの? ぜんぜん、乱暴に感じなかったけど」
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