10.期限付きセフレ契約

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 契約違反って、生真面目だなあ――と真広はぽかんとしてしまっていた。  そもそもセフレなんて不自然な関係を持つことが、いい加減な行為だとも言えるのに。  そのいい加減な関係に、生真面目に応えようとしているその気質がもう、彼の好さを物語っている。 「おかしいな。私、すごーく満足しているんだけど」 「嘘じゃないですよね。弟の友人だからって気遣っていないですよね。脳筋野郎だと思ったならはっきり言ってください。大人のお姉さんに言われたら、俺もどんな男かはっきりするし」 「大人って二歳しか違わないじゃない。弟の友人とかはもう……それ気にすること乗り越えて、関係しちゃったじゃない。私だってそんな経験ないよ。でも、前の彼と別れてから数年経っているから、欲しい欲しいと思っていた状態が激しくなっていたかもしれない。だから、全然……ううん、むしろ……」  彼の逞しい背中に抱きついて何度もキスを繰り返したことも、彼が隈無く真広の肌を愛してくれたことも思い出して、また身体の奥がつきんと疼いた。 「すごくよかったんだけど……。よかったら、その、また……おなじことしてほしい」
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