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そこで西村が申し訳ないような、しかめた顔になる。
「小山さん、もしかして、あの消防官の人。ただの知り合いなのに無理矢理カレシだって仕立てていませんでしたか」
ギクッとした。さすが西村、鋭いよ! しかし、そう言えば、西村がなにかの拍子にあれは先輩がこっちに気遣って嘘をついていたなんていう状況もでてくるかも? そうなるとまた彼女が不安になるだろう。
「まさか。でもさ。どっちに転ぶかわからなかったんだよね。ちょっと距離を縮めているところで、お互いに伺っていたというか。むしろ、こっちもこっちでぐんと距離が縮まりました。ありがとね」
「そうだったんですか! だって、おなじ日にカレシはいらないって……紹介もいらないって……。あ、そっか。あの人がいたから俺からの紹介を断っていたんですね」
「うん、そうなの。ちゃんとしてから報告しようと思って」
もうそういうことにしておこう! きっと駿も状況を理解してくれるだろう。
「いやー、かっこいい人でしたね。消防士でしょう。小山さんが言うとおりに、胸のあたりがっしりしていましたもん。もー、抱きついちゃったりして、ご馳走様でした」
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