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「抱きついたのは、あの場を収めるためでもあったからね。ああでもしないと、カノジョさんも一発で理解してくれなかったでしょ」
「年上真広さんに夢中って言ってましたよね~、消防士さん」
逆に西村にむふふとからかわられている。
「……だから、おかげさまでって言ってるじゃん」
ほんとうにそのとおりに、あそこでお互いに肌が触れたから一気に性的スイッチがはいってしまったのであって。恋人として距離が縮まったのではなくて、セフレとして成約できちゃったんだけどね――と心だけで呟く。
「まあ、俺もおかげさまってかんじです。結婚に対して本腰いれようかなと思ってます」
「わ、ほんとに! ということは、これからプロポーズか」
「それなんすよー。彼女、女の子らしい夢があるんで失敗できなくって。なんかありません?」
「結婚願望のない私に聞くか? といいたいけどさ。去年だけど外商で伺ったお客様のところで、ご子息にそんな相談されてねえ。お泊まりができるなら、オーベルジュとかでもプロポーズプランとかあったよ。婚約指輪をうちで買ってくれるとかいうからさ、そのためにもあちこち調べたんだ」
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