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「いや、俺にも原因があって」
「まさかW《ダブル》!?」
「じゃなくて……。いろいろあったんだけどさ。そのぅ……、元カノの真広には悪いんだけど、それでもおまえしか頼れなくて、ちょっとゆっくり話したい」
相当まいっているのか、あんなに意気揚々とした若手バイヤーの見る影もなく、もじもじとして自信なさげに俯いている。
そんな吾郎は見たくないよ――と真広も泣きたくなってくる。
「いいよ。いろいろ知られているみたいだね。私より先に、後輩の西村がなんでも知っているんだもの。後輩男子のネットワークの凄さに驚いているわ」
「おなじ食品に同期がいるみたいだな」
「ちょっと前に、同期じゃないですかって見せられた本社研修の画像で、吾郎君の体型がふくよかに変わっていてびっくりしていたばっかりなのに。元に戻っているってことは、相当まいっているでしょ」
「おう、……まいってるよ」
「よく行った焼き鳥屋。覚えてる? まだあるから」
「わかった。明日でもいいか? 閉店時間後になるけど……」
「いいよ。明日の夜だね。退勤後も適当に時間を潰してから行く」
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