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「うん。どこでも力を貸すとお義父さんが言ってくれたからさ。お義父さんとお義母さんと、義兄さんにはよくしてもらったよ。彼女だって、ほんと頑張っていたよ。よくしてくれた……。でも、その頑張りすぎる性格がなあ、俺が追い詰めちゃったかな」
義実家とうまくいっていたなら、よい結婚だったのではと真広も思った。
なのに何故……。そう聞きたくて、無理に聞き出すようで、真広は口をつぐむ。
思い返せば、結婚した元カレのその後など、一度も気にしたことがなかった。それぐらいに未練も断ち切れ、新しい仕事になった外商員として邁進してきたから。だから、吾郎のその後を本当になにも知らない。その分、幸せに順調に過ごしているとばかり思っていたから、離婚したなんて信じられないし不思議でしようがない。
「それで……。ここから話すことが、真広にしか言えないことで」
過去を振り返りながら、物思いふけってビールを呷っていた真広もびくりとする。
今日の本題だ。元カノだからこそ、相談したいこととは……?
「彼女だけのせいじゃないって、俺が言ったことなんだけど」
「うん……」
「俺、太っただろ」
「うん」
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