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「うまいもんばっかり食べてきたんで、太ったうえに、糖尿病予備軍になっちゃってさ」
「え、そうだったの!」
「気をつけろって食品バイヤーの先輩たちに言われていたのに、若いからって油断していたんだよな。でさ……」
そこで吾郎がビールを一気飲みした。そしておかわりを頼んでいる。
手元に持つものがなくなって、吾郎はテーブルに両肘をついて手を組んでそこに額を付け、目元を隠してしまった。
一気に思い詰めた空気を醸し出している。真広もグラスを置いて、なにも手にせず、そのまま彼が言い出すのを待ってみる。
「できなくなっちゃってさ、アレが」
「ん? アレ?」
「だから。夜の、」
「……夜の、」
「夫と妻のすること」
「え!!?」
ぎょっとして思わず一瞬だけ大きな声が漏れてしまったが、すぐに口元を押さえた。
「男として機能しなくなったってことだよ」
いわゆる『ED』というやつ!?
絶句しかできず、真広はただただ、目元を隠して俯いている吾郎を見ることしかできなかった。
それを聞いたら大概のことが予測できた。
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