31.みんな、しあわせ?

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「ちょうどいいところで会ったりして! ごろ、じゃない、朝比奈係長、お願いがあるんです!」 「え、え……」 「お邪魔いたしますね!」  十階から降りてきた満員の従業員エレベーターにぐいぐいと乗り込んだが『ブー』と重量定員オーバーのブザーが鳴った。 「えー、もう急いでいるのに」 「は、なにしてんの。外商で急いでいることなのか」 「そう、13時までになんとかしてっ。食品課から搬出の持ち出し許可いるし!」 「してって、おまえ……」  吾郎があたりをキョロキョロと見渡す。ほかの従業員たちも、外商員の女が気心知れている同期生に無茶を言っているのは薄々わかっているようで、笑みを抑えてなんとか下を向いてくれている。  とうとう吾郎が降りてしまった。  エレベーターのドアが閉まり、階下へと向かっていく。 「おまえ、真広……。このエレベーターを一度降りたら、どうなるか知ってるだろ。これ地下フロアについても、また1階ずつ各駅停車で十階まで昇って、また各駅停車で降りてくるんだぞ。どんだけ時間かかるかわかってるだろ。しかもいま、午前の開店直後、荷物の搬入搬出、従業員の動きが激しいときだぞ」 「じゃ、なんで降りたの」
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