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ずっと知らんぷりをしてきた僕の感情は、今の僕が向き合うにはあまりに黒くなりすぎていて、もし心の扉を開いてみようものなら「あっ」という間に呑み込まれて、僕が僕でなくなっていた事でしょう。
いやしかし、感情に素直でなかった僕は、果たして僕であっただろうか。
やることが無く暇であると、どうもいけません。
そこで僕は、折鶴を丁寧に並べることを熱心になってやっていました。
それを見てお母さんは「よかったね、折鶴嬉しいね」と言うものですから、僕はよけい熱心になって折鶴を丁寧に並べなければいけませんでした。
並べながら、僕は時々悪い想像をしていました。折鶴の翼をもぐ想像です。
翼がなければ鶴は飛べませんから、そうなったらどんなにいいかと、ひしゃげた翼を想像するのです。
そうすると、少し心が踊るのです。
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