1・触れられなくても

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「ハナはうまくいってるの?」 明るい方向へ話をもっていきたくて話題をふった。 「うーん、そうね。可もなく不可もなく」 「何その微妙加減は」 ハナは一瞬真顔になって、そこから陰りのある笑顔を見せた。 「うちはその…色々あるから」 その表情からゆうは何かを感じた。 実態のない、陰りのある何かを。 「色々…娘さん?」 「うん。今年高校受験なんだけど、不登校なんだ」 「そうか。受験か。大きくなったね」 「うん」 ハナの言ったことの答えになっていないような気もしたけれど、それがゆうの精一杯だった。
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