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「あの子ね、部屋から出ないの」
「うん」
「もう、あの子の声ずっと聞いていない」
ハナは諦めたような表情だ。
「ハナ、大丈夫だよ」
「何が?」
「ハナがついているんだから、娘さんは大丈夫」
そんなゆうの言葉も、ハナの前では何の励ましにはならなかった。
「何?私ずっと心配してるよ?でもあの子は顔も見せないし」
ゆうにはハナ目が涙で滲んでいるように見えた。
「ドアの向こうにいるはずのあの子に話しかけて、あの子が部屋から出たら姿を見せないように息を殺して。生存確認っていうの?それが日課」
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