1・触れられなくても

22/25
前へ
/747ページ
次へ
ハナは鞄からハンカチを出して目頭を軽く抑えた。 「ごめん、なんか。責めるつもりはないんだけど…ゆうは?みんな元気?」 「良いよ、大丈夫。うん。うちはなんていうか…うまくやってるよ」 家庭はうまくいっている、それに嘘はない。 心の内側を言う気にはなれなかった。 他愛のない話をしたいのに、そんな空気ではなくなってしまった。 二人はしばらく黙って料理を食べた。 「なんかさ」 ハナが口を開いた。
/747ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加